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書写と学習プロセス

ふでともかきかた教室 美しが丘西の志方和蓮と申します。

本日は書写と学習のプロセスについて考えてみたいと思います。

平成29年に文部科学省により学校教育法の施行規則一部改正と学習指導要領の改訂がなされました。

今日の急速なグローバル化や技術革新による社会構造の劇的な変化のなかで、これからの子供達が未来を切り拓くための資質・能力を一層確実にしていくということが、この法改正の背景にあるようです。

さて、新学習指導要領では、他教科と同様に国語科でも育成を目指す資質・能力は、「知識及び技能」、「思考力・判断力・表現力」、「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱に整理されています。書写はこのうち、「知識及び技能」に位置付けられました。こうした事実は今後、子供達の書くという技能に直接影響するという意味でたいへん有意義であり、また書写・書道という日本の言語文化の歴史や今後の発展という観点でも非常に大きな展開ではないかと捉えています。

さらに、私たちを取り巻く社会変化や法改正が直接影響しているかどうかは分かりませんが、書写が長年専門家らによって研究されるなかで、その教育方法もこの数十年で飛躍的な発展を遂げてきたのではないかと身をもって感じています。

これは個人敵な見解ですが、元来書道の教え方というのは属人的で書家によっても千差万別であり、その結果子供達の字への理解や技能の上達は個人差が大きかったのではないかと想像しています。実際私が子供の頃から持っていた書道のお稽古に対するイメージは、お手本を見ながら静かに書き続ける子供達の姿と、時々添削をする先生の関係でした。

当書道会では設立以来、正しく美しい文字を書くために、個人の資質・能力に左右される方法よりも、誰にでも理解しやすい体系的な教育方法を重視してまいりました。ゆえに、お稽古の大半の時間をつかって子供達が手本を見ながら書き続ける、という静かな環境ばかりを子供達に提供することが最善とは考えておりません。

実際には、その日に扱う字のテーマについての説明や技能的指導はしますが、子供達がまずは手本をじっくりと観察し字の外形や中心、点画などの特徴を正確に掴み、それらを自分の言葉で表現することを促します。さらに、子供達には手本の字と自身の字とを比較してもらい、その違いを具体的に説明できるように指導します。子供達の気づきが多ければ多いほど、より早く正確で美しい字を書くことができると考えています。こうしたプロセスでは講師と子供との間、又は子供と子供との間に有意義なコミュニケーションが生まれ、学習の相乗効果も生まれてきます。

こうした他人の声が聞こえてくる環境では、もしかすると個々の集中を妨げるのではと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのデメリットよりも自分以外の人達の多くの気づきが耳に入ってくることや切磋琢磨できることのメリットの方が大きいのではないかと私は考えています。

こうした学びのプロセスが、書写の「知識・技能」をただ自分の中だけに留めるだけでなく、「思考力・判断力・表現力」をも働かせ、更なる「知識・技能」の発展へとステップアップし、自分自身が学びに向かう原動力となるだけでなく、他の人をも巻き込む力や社会性をも育むことになるのではないかと信じております。ふでともかきかた教室 美しが丘西 志方和蓮