ふでともかきかた教室美しが丘西の志方和蓮と申します。
小学生向けに書を教えていてはっとさせられることがあります。
定例のお稽古が終わり、お道具を片付けるたった5分ほどの間に白い紙に鉛筆で描かれていた絵が、趣味の域を超えた腕前なのです。ある時それが一人ではなく、そのクラスの過半数いることに気づきました。
例えば流行りアニメの登場人物を本物と見違えるほどに描ける人。自宅で飼育しているカブトムシを絵本の挿絵のように美しく仕上げる人。花瓶に挿してある花を擬人化しシュールレアリズム風に描き上げる人。頭のなかのイメージだけで即興漫画を描く人…。こちらの皆さんは書の腕前をとってみても、やはり光るものがあります。
思い返してみれば私も物心ついた時には絵を描くのが好きでした。私の場合は、特に動植物の実物や実景を本物に限りなく近く描くことを好んでいたように思います。
今回生徒さん達の絵の腕前を見ていて、ふと絵と書の共通点を考えてみました。そもそも書には実用的要素と芸術的要素がありますが、芸術的要素については絵と書に共通するものだと思います。
また、毛筆で字を正確且つ美しく書こうとしている時の脳の働きは、実物や実景を写生している時とたいへん似ており、少なくとも私の場合はリラックスしながら非常に高い集中力を保っています。そして、実物(手本)と自身の絵(筆跡)を何度も何度も観察し比較しながら、全体の形(字形)や大きさを捉え、正しい位置・角度に筆を打ち込んでいく。
そういった意味で、私の勝手な持論としましては、絵に長けた人は達筆になる可能性がある。また、達筆の人は絵が得意になる可能性がある。この「絵と書」のテーマについてはまた別の機会にもじっくりと考えてみたいと思います。ふでともかきかた教室美しが丘西 志方和美